「3歳から始める『お金の会議』。欲しいものと必要なものを分ける力を育むコツ」

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はじめに

「パパ、これ買って!」「ママ、これ欲しい!」 スーパーのお菓子売り場や、おもちゃ屋さんの前で繰り広げられる、親子の小さくて激しい攻防戦。子育てをしていると、誰もが一度は経験する光景ではないでしょうか。

「昨日も買ったでしょ」「うちはうちは、お金持ちじゃないんだよ」 ついそんな言葉で返してしまい、後で「もっと違う言い方があったかな」と少しだけ胸が痛む。そんな毎日を繰り返しているなら、今日から少しだけ視点を変えてみませんか。

3歳。それは、言葉が溢れ出し、「自分」という意志がはっきりと芽生える時期です。実はこの時期こそ、一生モノの財産になる「金銭感覚」の種をまく、最高のタイミングなのです。

今回は、家庭で今日から始められる、3歳からの「お金の会議」についてお話しします。


なぜ「3歳」からお金の話が必要なの?

「3歳に金銭教育なんて早すぎる」と感じる方もいるかもしれません。まだ計算もできないし、100円と1000円の違いもわからない。確かにその通りです。

しかし、お金の教育の本質は「計算」ではなく「選択」にあります。

3歳児は、自分が「これが欲しい!」という強い欲求を持っています。それと同時に、「我慢する」という脳の機能も少しずつ発達し始める時期です。この時期に、「何でも手に入るわけではないけれど、自分で選ぶことができる」という感覚を育てることは、自己肯定感自制心を養うことにも直結します。

お金を「使うな」と教えるのではなく、「どう使うか」を一緒に考える。 これが、3歳からの「お金の会議」のスタート地点です。


「お金の会議」を始める前の準備:親の心の持ちよう

会議といっても、難しい顔をして机を囲む必要はありません。お風呂上がりや、寝る前の絵本の時間の延長線上で大丈夫です。ただ、親として以下の2点だけ、心に留めておいてください。

1. お金を「汚いもの」や「タブー」にしない

日本では昔から「お金の話を人前でするのは下品だ」という風潮がありました。しかし、お金は生きていくための大切な道具です。ハサミの使い方を教えるのと同じように、丁寧かつポジティブに伝えていきましょう。

2. 「ダメ!」を「会議」に変換する

子供の要求に対して、即座に「ダメ」と否定するのはエネルギーを使います。それを「よし、じゃあ会議しようか」に変えるだけで、親側の心の余裕も生まれます。


実践!「お金の会議」3つのステップ

それでは、具体的にどのように進めていくのか。3歳の子供でも理解できるステップに分けて解説します。

ステップ1:「ニーズ(必要)」と「ウォンツ(欲しい)」の仕分け

これが最も重要で、かつ一生使えるスキルです。大人でも難しいこの区別を、3歳児にもわかる言葉で伝えます。

  • ニーズ(必要なもの): それがないと困るもの。元気がなくなっちゃうもの。 (例:ごはん、お水、靴、お家、冬のコート)
  • ウォンツ(欲しいもの): あるともっと楽しくなるもの。ワクワクするもの。 (例:キラキラのシール、新しいミニカー、甘いチョコレート)

コツ: スーパーへ買い物に行く前に、「今日は『必要なもの』を買いに行くよ。卵と牛乳とパン。これらは明日のみんなの体を作るために必要なものだね。もし1つだけ『欲しいもの』を選びたいなら、どれにするか一緒に会議しよう」と話しかけてみてください。

ステップ2:魔法の呪文「どっちが今のあなたを幸せにする?」

子供が「あれも、これも!」となった時、大人はついつい「高いからダメ」と言ってしまいがちです。でも、子供にとって「高い・安い」の価値基準はまだありません。

そこで、**「どっちが今の〇〇ちゃんを、もっともっとニコニコにしてくれるかな?」**と聞いてみてください。

「青い車と、赤い車。どっちか1つだけ選ぶとしたら、どっちと仲良くなりたい?」 こう問いかけることで、子供は自分の心と向き合います。これは、自分の欲求を客観的に見る練習になります。

ステップ3:「選ばなかった方」へのフォロー

1つを選んだら、選ばなかった方には「今日はバイバイだね、また今度会おうね」と挨拶をさせましょう。これは、**「選ぶということは、何かを諦めることでもある」**という決断の重みを、優しく学ぶ儀式です。


家庭で取り入れたい「お金の会議」の具体例

お買い物ごっこで「予行演習」

本物の買い物に行く前に、家にあるぬいぐるみやおもちゃを使って「お店屋さんごっこ」をしましょう。 「このイチゴは、お腹が空いた時に食べる『必要なもの』かな?」「このキラキラの石は『欲しいもの』かな?」とクイズ形式で仕分けをするだけで、子供の理解は飛躍的に進みます。

「お財布」を持たせてみる

3歳になったら、自分専用の小さながま口やポーチを持たせてみましょう。中には本物のお金ではなく、手作りの「チケット」や「おもちゃのコイン」で構いません。 「今日のお買い物では、このコイン3枚分までだよ」とルールを決めることで、限られた資源の中でやりくりする感覚が芽生えます。

親の「買い物会議」を実演する

子供は親の背中を見て育ちます。夫婦で、あるいは独り言のように、「このお肉は今日のご飯に必要だから買おう。あ、このデザートは美味しそうだけど、今日は果物があるから我慢しようかな。会議の結果、今日は買いません!」と、選ぶプロセスを声に出して見せてあげてください。


「欲しい」が爆発した時の処方箋

どんなに教育をしていても、子供が泣き喚いて「どうしても欲しい!」となる日はあります。そんな時は、会議はお休みです。まずは、その「欲しい」という気持ちを全力で受け止めてあげてください。

「そっか、そんなにこれが欲しかったんだね。キラキラしてて、かっこいいもんね」 共感されるだけで、子供の興奮は少しずつ落ち着きます。落ち着いたところで、「じゃあ、次のお誕生日の『会議リスト』に入れておこうか」と、未来の約束に繋げてあげましょう。

「今すぐ」は無理でも「いつか」は手に入るかもしれない。 この希望を残してあげることが、子供の心の安定に繋がります。


お金の会議が育む「見えない力」

3歳から「お金の会議」を続けることで、子供には単なる知識以上の力が備わります。

  1. 優先順位をつける力: 自分にとって何が一番大切かを考える習慣がつきます。
  2. 我慢ではなく「納得」する力: 押し付けられた我慢はストレスになりますが、自分で選んだ結果としての納得は自信になります。
  3. 感謝の気持ち: 食べ物や服が、当たり前にあるのではなく「選んで買ってきたもの」だと知ることで、物を大切にする心が育ちます。

結びに:お金は「幸せ」を作るための道具

お金の話をすることは、決して夢のないことではありません。むしろ、限られた中で自分を最大に幸せにする方法を見つける、とてもクリエイティブな作業です。

「お金の会議」を通して、お子さんに伝えてほしいメッセージはただ一つ。 「あなたには、自分の力で幸せを選ぶ力があるんだよ」 ということです。

3歳の小さな会議室で交わされる会話が、10年後、20年後、お子さんが大きな社会に羽ばたいた時の、確かな道しるべになるはずです。

まずは今日の夕飯の買い出しから。 「今日は何が必要かな?」と、小さなパートナーに相談してみることから始めてみませんか。

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