慌ただしく過ぎ去る毎日の中で、ふと立ち止まってわが子の顔を見つめたとき、「今日はこの子と、どれくらいちゃんと目が合っていただろう」と胸がチクリと痛むことはありませんか?
朝は「早く起きて!」「準備して!」と急かし、夜は「片付けて!」「早く寝なさい!」と追い立てる。親として良かれと思ってのことですが、一日の終わりが「小言」で締めくくられてしまうのは、子どもにとっても親にとっても、少し寂しいものです。
そんな忙しいパパ・ママに、ぜひ提案したい魔法の習慣があります。それが、寝る前のたった5分でできる「3行日記」です。
これは、立派な日記帳に書く必要はありません。布団の中で、今日あった「良かったこと」を3つだけ、言葉にして伝え合う。それだけで、親子の絆は驚くほど深く、温かく結び直されていきます。

なぜ「3行」で「良かったこと」なのか?
私たちは、放っておくと「できなかったこと」や「反省点」に目が向きがちです。「今日はテストの点数が悪かった」「お友達とケンカしてしまった」「野菜を残してしまった」。
しかし、一日の最後にネガティブな感情を反芻(はんすう)すると、脳は緊張状態のまま眠りにつくことになります。逆に、どんなに小さなことでも「良かったこと」に光を当てて眠ると、脳は「今日はいい一日だった」という充足感とともに休息に入ることができます。
「3行」という短さには、3つのメリットがあります。
- ハードルが低い: 疲れている夜でも、3つなら続けられます。
- ポジティブな記憶を呼び起こす: 「良いこと」を探す習慣が、日常の小さな幸せへの感度を高めます。
- 自己肯定感を育む: 自分の行動が親に認められる経験が、子どもの自信に直結します。
魔法の時間の始め方:具体的なステップ
「今日から日記を書くよ!」と意気込む必要はありません。まずは、寝る前の布団の中での「おしゃべり」から始めてみましょう。
1. 親がまず、自分の「良かったこと」を話す
子どもに「何か良いことあった?」と聞いても、最初は「別に」「忘れた」と返ってくるかもしれません。まずはパパやママが、自分自身の小さな幸せを話して見せましょう。
「今日ね、お仕事の帰りに綺麗な夕焼けが見えて、すごく嬉しかったんだ」 「お昼に食べたお弁当の卵焼きが、今までで一番美味しく焼けたんだよ」
大人の些細な喜びを聞くことで、子どもは「あ、そんな小さなことでいいんだ」と安心します。
2. 子どもの「良かったこと」を全力で受け止める
子どもがポツリと話してくれたら、それがどんなに些細なことでも、評価せずに受け止めます。
- 「給食のゼリーが美味しかった」
- 「休み時間にドッジボールでボールを触れた」
- 「道端にダンゴムシがいた」
ここで大切なのは、「もっと勉強を頑張ったとか、そういうことはないの?」と誘導しないこと。 子どもが「良い」と感じたその感性を、まるごと「いいね!」と肯定してあげてください。

3. 「あなたに関する良かったこと」を1つ混ぜる
3つのうち1つを、親から見た「子どもの素敵だったところ」にするのが、この魔法の最大のスパイスです。
「今日、あなたが靴を揃えてくれたのを見て、ママ助かったよ。ありがとう」 「お風呂上がりに自分でパジャマを着ようと頑張っていたね。かっこよかったよ」
寝る直前に聞く親からのポジティブな言葉は、子どもの潜在意識に深く染み込みます。「自分は愛されている」「自分のままでいいんだ」という安心感が、深い眠りへと誘います。
記録に残すことで「宝物」に変わる
言葉で伝え合うだけでも十分ですが、余裕があれば、ぜひ1冊のノートに書き留めてみてください。
【おすすめの書き方例】
| 項目 | 内容のイメージ |
| 1行目:自分(子)のこと | 自分が楽しかったこと、頑張ったこと。 |
| 2行目:周りのこと | 友達に優しくされた、空が綺麗だったなど。 |
| 3行目:親からのメッセージ | 「〇〇してくれて嬉しかったよ」という感謝。 |
数ヶ月後、数年後にそのノートを見返したとき、それは家族にとって何物にも代えがたい「愛の記録」になります。反抗期を迎えたときや、子どもが壁にぶつかったとき、このノートが「あなたはこんなに愛されて育ったんだよ」というメッセージを、親の代わりに伝え続けてくれるはずです。
忙しいママの心を救う「3行日記」の効果
実は、この3行日記で一番救われるのは、親である私たち自身かもしれません。
仕事でミスをしたり、子どもに強く当たりすぎて自己嫌悪に陥ったり。育児中の夜は、どうしても反省の色が濃くなりがちです。しかし、無理にでも「良かったこと」を探そうとすると、脳のフィルターが切り替わります。
「怒鳴っちゃったけれど、そのあとに仲直りの抱っこができた」 「夕飯はレトルトだったけれど、みんなで笑って食べられた」
「完璧な親」である必要はありません。 今日という日の中に、1つでも2つでも温かな光があったことに気づければ、それで100点満点なのです。
終わりに:今夜、電気を消す前に

子育ての期間は、長いようであっという間です。いつか子どもが成長し、自分の足で歩き出す日が来ます。そのとき、子どもたちの心の奥底に「夜、パパやママと温かい気持ちで眠りについた記憶」が根付いていれば、彼らはどんな困難も乗り越えていける強さを持てるはずです。
今夜、電気を消す前の5分間。 スマホを置いて、子どもの柔らかい手を握りながら、聞いてみてください。
「ねぇ、今日あった『良かったこと』、3つ教えて?」
その瞬間から、あなたの家庭に小さな、けれど確かな魔法がかかり始めます。
次の一歩として、まずは今夜、お子さんの寝顔を見ながら「今日、あなたがいてくれて良かったこと」を1つだけ、心の中で(あるいは耳元でそっと)唱えてみませんか?


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